デザイン経営について

経済産業省のデザイン経営宣言について思うこと

「デザイン経営」という考え方は、今に始まったことではなく1980年代後半にも「デザインマネジメント」という同様の提唱がなされています。双方の根幹は同様であり「デザインを経営資源として戦略的に活用する」ということ。しかし80年代後半のデザインマネジメントは、その後のバブル崩壊という大きな変数があったにせよ望んだ役割は果たせなかったように思われます。

その理由は2つ。まず一つ目。当時は「技術革新」が経営資源の主役であり、デザインはその技術を飾る役割に終始してしまったこと。 二つ目は、現場で高い造形スキルを武器に活躍するデザイン実務者の心理的な地位が高かったため、マネジメント、強いては経営に参画しようとするデザイナーが十分に評価されなかったことだと言えます。

現在一つ目の問題は、痛みを伴いながらではありますが解決しようとしています。これまでの日本にとっては不幸な形で産業の構造が変化したことで「技術革新」だけが経営リソースの主役ということではなくなり、本来の意味での「イノベーション」を社会実装するために「デザインシンキング」や「サービスデザイン」という形でデザイン経営につながる下地が出来始めました。

では、二つ目の問題に関してはどうでしょう。「デザイナーは経営の場でビジネスに参加できているでしょうか?」残念ながらアートスクールを経由してきたデザイナーたちの多くは、形を生み出すことに優先順位があり、「経営資源としてのデザイン」という異なるレイヤーでの活動に距離があるように思われます。しかし、今問われていることは「経営に資するデザイン」が実現できるか? そのような人材が潤沢に存在するのか?ということです。経営とデザインという異なる専門性が必要となるために一朝一夕には実現しないのかもしれません。今後の教育に期待しましょう。

I.D.Net.は1994年より「インフォームドデザイン」というマーケティングとデザインを橋渡しするソリューションを提供しています。ブランディングを実現する中でデザインを経営資源として戦略的に活用することをお手伝いし、おかげさまで2021年1月には28期目に突入することが叶いました。ぜひ様々な経験を持つ私たちに ブランディングのこと、マーケティングのこと、デザインのこと、ビジネスにデザインを生かすために私たちをご活用いただければと思います。

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