児童用の雪上遊具 SnowBobs(ソリ)の企画からデザイン、そして製造までサポートしました。
2008年ごろから、SALOMONは、ウインタースポーツ需要の低下対策に様々なアプローチを行っています。この児童向け雪上遊具SnowBobsの企画も先の対策の一環としてI.D.Net.からの提案したものの一部です。
子供だけでも遊べ、親と一緒に遊ぶことができる。しかも子供でも直観的にスピードをコントロールすることができる。これらをどのように実現するのかという創意と工夫に満ちたプロジェクトになりました。
当時のスキー場への来場者を分析したところ、80年代に巻き起こったスキーブームの当事者たちが、子供を連れてスキーなどを楽しむいわばUターン現象が起こっていることが判明。ところが、大人と子供がぶつかったりしないようにという安全対策が理由で区画された児童向けエリアには大人が立ち会うことはできても、一緒にスキーやソリで遊ぶことができませんでした。さらにフィールドリサーチを重ねるうち、「子供にとって安全な場所で遊ばせたい」「子どもと一緒に滑りたい」という親の想いが道具や環境によって両立できない状況でした。この潜在的ニーズに対して、「親子一緒に遊べて、安全で(スピードを任意に調整できる)快適なソリを作ろう」というソリューションが生まれます。
比較的安価に量産するためにブロー成形で製造することを想定し、設計とプロダクトデザインが同時進行で進められました。SnowBobsの形状は一見ブロー成形で作られたとは思えない特殊な形状ですが、この形状によって「ナチュラルスピードコントロール」「サスペンション」「底冷え対策」の機能を実現させています。
ナチュラルスピードコントロール
スキーなどでもそうですが、人は滑走速度に恐怖を感じると後傾になりがちです。すると更に加速しコントロールができなくなります。そこで、このソリにはブレーキの機能を持たせることにしました。後傾になるとソリの後ろ側が雪に食い込んで減速し、前傾になると加速するという機能を機構を持たせることなくソリの形状だけで実現しています。子供が無意識に速度を調節できる構造としました。
サスペンションと底冷え対策
一般的なソリはトレイのような形状のため、でこぼこした雪面では、下から突き上げるような衝撃が直接お尻に伝わります。加えて雪面とはたった3ミリ程度のプラスチックがお尻の間にあるだけです。子供のお腹は徐々に冷えてきます。このSnowBobsでは着座面を持ち上げることで、材料(PE-HD)が持つ粘りによるサスペンション効果と冷え対策を実現しています。
[サポート範囲]
- 市場分析
- 製品企画
- ネーミング開発
- プロダクトデザイン
- グラフィックデザイン
- シンボル開発
- 製品設計
- 製品製造(ファブレス)